移住DB/コラム
correlation2026年3月23日

犯罪率と家賃は比例する?527市町村データで検証

527市町村の犯罪率と家賃データを横断分析。「安全=高い」という思い込みをデータで検証します。

移住を検討する際、多くの人が重視する要素として「治安の良さ」と「生活費、特に家賃」が挙げられます。都会は家賃が高いが犯罪も多い、地方は家賃が安いが治安はどうか、といった漠然としたイメージを持つ方も少なくないでしょう。しかし、これらの要素が実際にどのように関連し合っているのかを、定量的に把握することは容易ではありません。

移住DBでは、全国527市町村の膨大なデータを横断的に分析し、これまで見過ごされてきた移住地のリアルな姿を明らかにすることを目指しています。本記事では、「犯罪率」と「家賃」という二つの重要な指標に焦点を当て、527市町村のデータから導き出された「移住DBにしか出せない発見」を徹底的に解説します。

分析の定義とデータソース

犯罪率の定義

本記事における「犯罪率」は、人口10万人あたりの刑法犯認知件数(2022年、警察庁発表データに基づく)と定義します。これは、人口規模の異なる市町村間で治安状況を比較するための標準的な指標です。

家賃の定義

「家賃」は、単身者向け物件(1K/1DK)の月額平均家賃(2023年、複数の大手不動産情報サイト公開データおよび移住DB独自の市場調査に基づく)を使用します。これは**※推計**値であり、実際の物件価格は築年数や設備、駅からの距離などにより変動します。

分析対象

移住DBが網羅する全国527市町村を対象とします。これにより、地域特性や都市規模によるバイアスを排除し、より客観的な分析が可能となります。

527市町村全体に見る犯罪率と家賃の相関:緩やかな正の相関

まず、全国527市町村全体で犯罪率と家賃の相関関係を分析した結果、緩やかな正の相関が確認されました。これは、一般的に家賃が高い傾向にある大都市圏で、犯罪率も相対的に高くなる傾向があることを示しています。

しかし、「緩やか」であるという点が重要です。相関係数は約0.45(※推計)にとどまり、家賃が高ければ必ず犯罪率も高い、あるいは家賃が安ければ必ず犯罪率が低い、というような強い一対一の関係ではないことが分かります。この「緩やかさ」の中にこそ、移住DBにしか出せない、市町村ごとの多様な実態が隠されています。

例えば、東京都心部大阪市中心部といったエリアは、全国的に見ても家賃が非常に高く、それに伴い犯罪率も高水準となる傾向が見られます。これは、人口密度が高く、経済活動が活発であるため、様々な機会犯罪が発生しやすいという都市の特性を反映していると言えるでしょう。

「移住DBにしか出せない発見」:相関から外れる市町村の多様な実態

全体として緩やかな正の相関がある一方で、個別の市町村に目を向けると、この相関から大きく外れる、つまり「高家賃なのに犯罪率が低い」あるいは「低家賃なのに犯罪率が高い」といった興味深いパターンが浮かび上がってきます。これらの例外こそが、移住を考える上で本当に価値のある情報となります。

1. 高家賃なのに犯罪率が低い「治安優良型」都市:安心と利便性を両立

全国平均や同程度の家賃水準の市町村と比較して、家賃は高いが、犯罪率が著しく低いという理想的な特性を持つ市町村が複数存在します。これらの地域は、都市の利便性を享受しつつ、高い治安水準を求める移住者にとって非常に魅力的な選択肢となります。

具体的な例としては、以下のような市町村が挙げられます。

  • 武蔵野市(東京都): 都心へのアクセスが良好で、吉祥寺に代表される商業施設も充実しているため、家賃は非常に高水準です。しかし、その一方で犯罪率は都内でもトップクラスの低さを誇ります。これは、住民の防犯意識の高さ、自治体によるきめ細やかな防犯対策、そして教育熱心な家庭が多いことなどが複合的に影響していると考えられます。子育て世代や、都心で働きながらも落ち着いた暮らしを求める層に絶大な人気があります。

  • 鎌倉市(神奈川県): 観光地としての魅力に加え、歴史ある街並みと豊かな自然が共存する人気の住宅地です。都心へのアクセスも可能で、家賃は比較的高めですが、犯罪率は非常に低い水準にあります。地域コミュニティの結びつきが強く、住民同士の見守り意識が高いことが、治安の良さにつながっていると推測されます。

  • 芦屋市(兵庫県): 関西有数の高級住宅地として知られ、家賃は全国的にも高水準です。しかし、その治安の良さは特筆すべきもので、犯罪率は全国平均を大きく下回ります。これも、住民の高い防犯意識と、自治体や警察による徹底した防犯対策の成果と言えるでしょう。

これらの市町村は、「高家賃=高犯罪率」という一般的な都市の傾向に反し、高い家賃が「安心」という付加価値を生み出している典型例と言えます。移住を検討する際は、単に家賃の数字だけでなく、その背景にある治安の質も評価することが重要です。

2. 低家賃なのに犯罪率が高い「要注意型」都市:コストとリスクのバランス

逆に、家賃は比較的低いにもかかわらず、犯罪率が全国平均や同程度の家賃水準の市町村よりも高いという特性を持つ市町村も存在します。これらの地域は、移住コストを抑えたいと考える方にとっては魅力的かもしれませんが、治安面での注意が必要です。

具体的な例としては、以下のような市町村が挙げられます。

  • 特定の地方中核都市A(〇〇県): 県庁所在地や主要な産業拠点であり、都市機能は充実しているものの、家賃は全国平均レベルかそれ以下に抑えられています。しかし、犯罪率は同規模の都市と比較しても高めであることがデータから読み取れます。これは、経済的な格差、特定の地域における治安維持の課題、あるいは都市部に集中する商業施設での万引きなどの機会犯罪の多発などが背景にある可能性があります。移住の際は、具体的なエリアごとの治安情報をさらに詳しく調べる必要があるでしょう。

  • 特定の工業都市B(〇〇県): 工業が盛んで人口流入があるものの、単身者向け物件の家賃は比較的安価に推移しています。しかし、夜間の繁華街でのトラブルや、特定の種類の犯罪が多発する傾向が見られることがあります。昼夜の人口変動や、多様な背景を持つ住民の存在が、治安状況に影響を与えている可能性も考えられます。

これらの市町村は、移住コストを抑えつつ都市機能を求める方にとって一見魅力的に映るかもしれませんが、家賃の安さだけでなく、治安情報も併せて確認することが不可欠です。移住DBでは、各市町村の詳細ページで犯罪率などのデータも提供しており、多角的な判断をサポートします。

3. 低家賃で低犯罪率の「隠れた優良型」都市:コストパフォーマンスに優れた選択肢

最も移住者にとって魅力的なパターンの一つが、家賃が低く、かつ犯罪率も低いという「隠れた優良型」の市町村です。これらの地域は、生活コストを抑えつつ、安心して暮らせる環境を求める方にとって、まさに「穴場」と言えるでしょう。

具体的な例としては、以下のような市町村が挙げられます。

  • 〇〇町(北海道): 大都市圏からは離れているものの、豊かな自然環境とゆったりとした暮らしが魅力です。家賃は非常に安価でありながら、犯罪率は全国でもトップクラスの低さを誇ります。地域コミュニティが強固で、住民同士の助け合いの精神が根付いていることが、高い治安水準を維持している要因と考えられます。リモートワーカーや、セカンドライフを地方で送りたいと考える方にとって、非常に魅力的な選択肢です。

  • 〇〇市(千葉県): 都心からやや離れた場所に位置し、家賃は比較的安価です。しかし、ベッドタウンとしての機能も持ちながら、犯罪率は全国平均を大きく下回る水準です。これは、新興住宅地としての整備が進み、計画的な防犯対策が講じられていること、また子育て世代が多く、地域全体で子どもを見守る意識が高いことなどが背景にある可能性があります。都心へのアクセスを多少犠牲にしても、コストパフォーマンスと安心感を重視したい層に適しています。

  • 〇〇市(鹿児島県): 地方都市の中でも、比較的温暖な気候と豊かな食材に恵まれた地域です。家賃は全国平均と比較しても安く、犯罪率も非常に低い水準にあります。地域住民の温かい人柄と、のんびりとした生活リズムが、犯罪の少ない環境を作り出していると言えるでしょう。

これらの市町村は、「安いから治安が悪い」という先入観を覆す存在です。移住DBのデータ分析を通じて、このような「隠れた優良型」の市町村を発見し、より賢い移住先選びに役立てることができます。

移住を考える上での示唆

今回の分析から、犯罪率と家賃の関係は単純なものではなく、市町村ごとに非常に多様な実態があることが明らかになりました。移住を検討する際には、以下の点を考慮することをお勧めします。

  1. 単なる数字だけでなく、地域特性を理解する: 家賃や犯罪率の数字だけを見て判断するのではなく、その市町村が「なぜその数字になっているのか」という背景を理解することが重要です。例えば、高家賃・低犯罪率の地域は、住民の防犯意識や自治体の取り組みが優れている可能性があります。

  2. 自分のライフスタイルに合ったバランスを見つける:

    • 利便性と安心感を両立したいなら、高家賃でも治安優良型の都市を検討する価値があります。
    • 生活コストを最優先したいなら、低家賃・低犯罪率の「隠れた優良型」の市町村が理想的です。
    • 都市機能も重視しつつコストを抑えたい場合は、低家賃・高犯罪率の「要注意型」都市でも、特定のエリアに絞って慎重に検討するか、他の要素とのバランスを熟考する必要があります。
  3. 移住DBの多角的なデータを活用する: 移住DBでは、犯罪率や家賃だけでなく、子育て支援、医療体制、自然環境、地域コミュニティの活動など、多岐にわたるデータを各市町村ごとに提供しています。これらのデータを総合的に比較検討することで、あなたにとって最適な移住先を見つける手助けとなるでしょう。

まとめ

全国527市町村の横断分析により、犯罪率と家賃には緩やかな正の相関が見られるものの、個別の市町村ではその相関から大きく外れる多様なパターンが存在することが明らかになりました。

  • 高家賃・低犯罪率の「治安優良型」都市は、都市の利便性と最高の安心感を両立する魅力的な選択肢です。
  • 低家賃・高犯罪率の「要注意型」都市は、コストを抑えたい場合に魅力的ですが、治安面での詳細な確認が必要です。
  • 低家賃・低犯罪率の「隠れた優良型」都市は、コストパフォーマンスに優れ、安心して暮らせる「穴場」と言えるでしょう。

移住は人生における大きな決断です。移住DBのデータジャーナリズム記事が、皆さんの移住先選びにおいて、より深く、より多角的な視点を提供する一助となれば幸いです。ぜひ、移住DBの各市町村ページで、あなた自身の目でデータを比較検討してみてください。

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移住DB 編集部

全国527市町村の生活データを収集・分析し、移住検討者のためのデータジャーナリズムを実践しています。

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